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まぁ……常識的にも考えて、そうだよな。
恋人同士でもない男女がそんなことをする理由なんて何処にも存在しない。
俺個人の我が儘でしかない。
「やっぱりさ、いつも通りの起こし方でいいよ」
「……えっ?」
「つっても、なるべく優しく起こしてほしいんだが……」
毎日毎日、こうやって健気に起こしに来てくれることだけでも十分に幸せだろう。
「あ。……うん」
気のせいか、なんだか美月が一瞬悲しい顔をしたように見えた。
確かに見えたんだが、改めて見ても普通なので、やっぱり気のせいだったのでは、と考えた。
「さ~て、学校行くかっ……」
腕を上げて体を反らせる。体中の骨が軋んでポキポキ音を鳴らす。
それが気持ちいいんだ。
「いっ、言われなくても分かってるわよっ!」
なんだか、色んな感情を混ぜたような言い方だった。得に喜怒哀楽の怒の部分が強め。
*
学校へ着き、机に鞄を置くと、とある女の子が近寄りながら俺達二人に元気よく話し掛けてきた。
「おはよう!」
前の席に座る真紀だ。
「あぁ、おはよ」
「おはよう……」
あれ?美月さん。明らかに一人だけテンションが違いません?
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