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「お前もいい加減現実の彼女とか作りたいとか思わないの?」
俺がゲームをしている最中にヤツはいきなり話し掛けてきた。
「あ?別にそんなのいらないって。だいたい三次元の女はレベルが低すぎる。こっちから願い下げだ。」
「ちょっ…そんな……せっかくもてそうな顔してんのに…もったいないじゃないか。」
下手なお世辞をヤツは言った。
「はいはい、どうも。そうです、俺みたいな男は二次元の女の子にモテモテですよ。」
「だから、そういうところを…はぁ、もういい。心配して損した。そんなゲームとかで満足できてるなら、別に今言うことはないや。」
ヤツは残念そうな顔をして俺のプレイしている画面に目を向けた。
「で、お前の今してるそのゲームの女の子が今までで一番の彼女なのか?」
「くだらない質問だな。そんなわけないだろう。この子もかなり可愛いが性格がちょっと理想に届いていない。あと見た目ももうちょっと…」
「いや、もういいよ。」
「そうか。」
ヤツはまたも残念そうな顔をして、黙ってうつむいた。
「でもさ、理想的な姿、性格の女の子がいたら、やっぱ振り向いたりするのか?」
「は、そんな女、三次元にいるわけないだろ?ばかも休み休み言え。
まぁ、いたら確かに告白とかもしちゃうかもな。そんでどんなことをしてでも彼女にしてやるだろうな。ま、ありえないけどね。」
「そんなことない、きっと近くにいるさ!!ボクは応援してるぞ!友達としてお前がこんな姿をしているのを見てられないからな。うん、きっと運命の人が現れてくれるさ!!」
「へいへい、わかったからもうちょい静かにしててね。音声が聞こえないから。」
「またそうやって…ったく…」
俺はヤツの言葉を華麗にスルーしていた。でもヤツの言ったことは変に現実味を帯びていた気がした。
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