1231人が本棚に入れています
本棚に追加
「おっ、なんか楽しそうな話ししてんじゃん。」
「なんだ、ユイか。」
「なんだとはなんだ!!別にいいじゃん!!何の話してたの?」
「ほら、あれだよ、去年の夏の…」
「あ…あれか…あれはわたしにとって嫌な思い出だった…」
「ん?ユイなんかあったっけ?」
ナツが問い掛ける。
「ほら、プール行ったじゃん。あの時わたしが飛び込み台から飛び降りたの覚えてる?」
「そういや何回かしてたな。…あっ、あれか!!!」
「そう、それ!!最後にやった飛び込み!あれはいい恥曝しだったよ…」
ユイがなぜか遠くを見るような目をしている。
「あの時は俺も焦った。まわりに人がいたらもうあれどころじゃ…」
「言うなっ!!」
バシッ
「痛っ!!」
ユイが俺の後頭部を平手で叩いた。
ちなみにこの姫野唯(ヒメノユイ)が犯した失態とは、飛び降り、着水したときに水着が脱げてしまったことだ。
脱げた本人は脱げた水着を確認するまで気付かず、一緒にいた俺たちに己の小振りな胸をあらわにしてしまったのだ。
まぁ、逆に言えば俺たちしかまだ見ていなかったのでよかったのだが…当の本人はかなり傷ついていた。そのあと機嫌を直すのにどれだけ手間がかかったことか…
俺は見てもどうにも思わなかったけど!!
「とにかく!そのことは忘れてよ?」
「自分で振ったくせに…」
「なんか言った!?」
「いえ、何も!!」
もう平手はごめんだ。本当に無駄に地獄耳な奴だ。
「というか、俺たちがしていたのはそんな話じゃなくて、今年はどうするかってこと!!」
「あっ、なんだぁ。」
やっとわかりやがったか。
「それでさ、ボクは今年もミライに任せようと思ってるんだけど…」
「ふぅん…まぁわたしはプール以外ならどこでもいいけど」
よしっ、これで俺の好きにできる!コイツらにはわるいけど。まぁ、そんなの知らねっ!!
最初のコメントを投稿しよう!