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静けさに包まれて。
夜は、
森を飲み込みました
僕は森の中で
出口を探していましたので
一緒に、
飲み込まれてしまったのです
ゆらゆらと
宛もなく視線を泳がせていると
近くに生えている
大木の枝葉が
がさがさ、と鳴き
僕の「だれだ?」の声と同時に
そいつは顔を出しました
「8.99999…」
それは数字みたいな鳴き声で
隙間には積年の思いが
つまってるようでした
静かな 静かな 森で
夜が明けない 森で
ひとり と 一匹 が
言葉を交わすわけでもなく
互いに目線で意思表示を
していたのでした
もう、まもなく
僕は何かを見い出すのでしょう
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