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星砂時間。
目の前にいる彼は、
夜空の星を指でなぞりながら
「この光が嘘だったとしても
自分が今こうして
光をなぞっていることは
嘘じゃないんだ。
光に触れているこの瞬間は
本物なんだ。」
なんて言った
それを見て周りの人達は
口々に彼が楽しそうにしている、
なんて言うんだ
だけどわたしには、
その間に詰まった悲しみが
伝わるから
「例えばこの時間が
嘘だったとしても、
わたしが今こうして
読み進めた本のページは
嘘、じゃないのよ。
本当のことなの、よ。」
って言ってみたくなったの
彼は、目を丸くしたあと、
蕩けそうな顔をして
笑ってくれたっけ
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