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「……なんでも、ない」
なんとも気の弱い男だと、つくづく自分で思う。
今このタイミングで告白すれば、なにがどう変わるのか想像はつかない。
「ハジメくんさぁ、今、金魚のこと抱きしめたいって思ったでしょ?いいよいいよ、胸んなかおいで!」
なんて、
冗談ぽく笑いながら食器を洗い終えた金魚は、振り向いて両手を広げた。
馬鹿野郎。
このままお前を抱きしめられたら、こんなに悩まねえよ。
そう胸の中で呟いて、鼻先で笑った。
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