金魚

隣

「お帰り、おばちゃんもう金魚ちゃんのご飯も作っちゃったよ。ハジメもちゃっちゃと準備しちゃって。もうご飯にするから！」

家に帰った途端、母さんが忙しそうに駆けて来た。僕目当て、というよりか金魚目当てだ。

金魚は照れ臭そうに笑いながら、「いつも美味しいごはんありがとうございます」なんて、深く頭を下げていた。

僕の家は一軒屋とかじゃなく、マンションだ。父親は、出張中で居ない。
僕はそそくさと自分の部屋に行き、預かった金魚のカバンと僕のカバンをベッドの上に放った。

「さぁ、食べて食べて。冷めないうちに早くね！」

母さんは忙しいようで、少し慌てながら身支度をしていた。これからパートがあるから、慌しく。