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近年の都市は電線などは地下に埋設されるのが一般的で、アートシュナイダーの躯体が駆け回る事になんの障害も無い。ちなみに、邪魔な車などは遠慮無く蹴飛ばされたり、踏みつけられたりしている。
カメラが次々切り替わり、アートシュナイダーが街を疾走する姿が映される。そして次にカメラが切り替わると、それは一転街全体を見渡せるような遠景に切り替わる。
そのピントの中心に、どす黒い赤に染まる山がある。街の中心に山? と疑問に思ったのも一瞬、ソイツは首を持ち上げた。山だと思ったそれは、巨大な怪獣だ。後ろ足の二足歩行に長大な尻尾、牙をぎらつかせてソイツは立ち上がると、真っ黒な双眸で周囲を見回している。
「これは、フレイムリザードと呼ばれる怪獣です。怪獣種の中ではかなりよく有るタイプでして、いかにもな能力を有しています」
真木の説明が終わったかどうかというその時、フレイムリザードと呼ばれた怪獣の口から炎が漏れ、それが打ち出される。飛来する火球がビルに当たり爆発を伴いながらそれを倒壊させた。
会場がざわつく。それはそうだろう、怪獣フレイムリザードはビルと対比すると五十メートル以上は有るが、対するアートシュナイダーは十メートルそこそこ。しかも相手はビルを一撃で破壊している。当たれば即死は免れ無いだろう。
画面の隅に小さなマップが現れ、巨大な一つの赤いマークと、小さな青い八つのマークを示す。赤がフレイムリザードで、青がアートシュナイダーという訳だ。
アートシュナイダーはフレイムリザードの八方向から、建物を壁にしながらジリジリと接近していく。素人目にも非常に連携が上手いと分かる。
フレイムリザードの後ろ百メートル程(スケールが大き過ぎて、かなり誤差が有ると思う)に現れたアートシュナイダーが、手に構えたマシンガンらしき銃を、フレイムリザードに放つ。
硝煙を上げ、火を噴く銃口から飛び出た弾は、フレイムリザードの巨大すぎる体に全て命中した。血が吹き出て、フレイムリザードは悶絶の咆哮を上げる。
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