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適当な席に座り、私は袴を綺麗に伸ばした。
本来なら袴で椅子に座りたくはなかったのだけれど、有無を言わさずここまで連れてこられたので仕方なかった。
しかして、私は状況がいまいち掴めていない。
私はなぜこの場に喚ばれたのか、いや、顔ぶれから察するに風紀委員の仕事であることは明確ではあるのだが……解せない。
それはさながらクイズの答えを知ったのにその解法に疑問が残っているかのような引っ掛かりだ。
「……」
沈黙がこの空間を支配する。
何故誰も喋らないのだろうか。
というか、召喚の理由すらわからない。
「流鏑馬、お前……んー、何か変わったことはなかったか?」
突如静寂を破った言葉の内容は曖昧としていて、私は訝しげに顔をしかめた。
質問の意図が読めない。
とりあえず私の知らないところで、私の知ってる何かが動いてることはわかった気がした。
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