5センチ

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卓上カレンダーの日付を眺め、はぁ、と溜め息を吐く。 そこには、赤いペンで付けられた×印が、ズラリと羅列している。 それが、余計寂しさを助長させている様で、嫌だった。 「もう、こんなになるんだ…」 ―――会えなくなってから、既に1ヶ月が経とうとしていた。 あの人は、最近、よく海外へツアーに行く事が多く、離れ離れが常。 ましてや、俺と所属している事務所が違うのだ。 会える事の方が、奇跡に近いのかもしれない。 「メール、してみようかな…」 携帯を開いて………… いや、止めておこう。 俺の我儘の所為で、負担が増える様な事はしたくない。 ―――本当は、もっとマメに連絡をして、貴方を近くに感じていたい。 今、何処で何をしているの? 身体は壊していませんか? ねぇ 貴方の声が…聞きたいです。
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