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ー? SIDEー
荒れ狂う炎が舞う大地。
そこでは、戦争が起きているらしく人がまるで蟻のようにウジャウジャいる。
今もまだ戦い続けている者。
既に息を引き取り地に伏せている者。
途中で逃げ出す者。
たくさん…たくさん人がいた。
だけど、俺が見たのはその中にいる人間ではない。
俺が見たのは…視界で認識できたのは2人だけだった。
一人は、漆黒の髪と深紅のマントを靡かせた禍々しい雰囲気の男。
身に纏う漆黒の鎧が男の禍々しさを引き立てている。
対するもう一人は、長い栗色の髪と白いマントを靡かせた美しい女。
身に纏う、金色の装飾が施された白い鎧が女に神々しさを与えているように見える。
男は、右手を上げて女に向かって話す。
「会いたかったぜ、……ナ。
」
その時の男の表情は、禍々しい笑顔で女を見ていた。
毎回毎回、夢はそこで終わる。
女や男の名前や顔は知っているものではない。
知らない…知らないはずなんだ。
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