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「おい、谷崎(タニザキ)、お前はいつまでそうやって……」
課長の田中 秀樹(タナカ ヒデキ)は俺の直属の上司に当たる。
田中課長は三十代後半で、俺とたいして年は離れていない。
なのに、この会社の将来の役員候補だということもよく聞く。
「お前の境遇は……たしかに辛いもんだろう。だから少しは甘く見ていたが、全く仕事をしないとなると――」
「わかってます」
課長の言ってることは正論だということぐらいわかる。
やろうと試みてはいるんだ。
でも、体は動かない。
今月のノルマ達成表は俺の部分を除いて、赤い棒グラフが伸びている。
課長がしつこく注意をしてくるのは当たり前だ。
俺のノルマ達成率を示すグラフは底辺から全く伸びていないのだから。
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