6人が本棚に入れています
本棚に追加
「しっかり頼むよ。全く」
田中課長は気のない俺の返事を聞いて、わざと聞こえるように言いながら自分のデスクへ戻っていった。
どうしたものかな、この無気力を解消するには。
ワードの画面が開かれたままのパソコンを見た。
意気込んで、手をキーボードの位置にセットはするが、一向に文字がでてこない。
パソコンの画面には虚しくカーソルだけが点滅を繰り返している。
それを見るのが嫌になって、一面ガラス張りの窓から外の景色を見る。
目を凝らすと僅かに雪がちらついている。
雨よりもゆっくりと雪は地面に向かって落ちていく。
そういえば、沙耶(サヤ)と最期に話したとき、雨が降っていたっけ。
あれから三週間か...
もう雪の季節なんだな。
最初のコメントを投稿しよう!