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「――加奈(カナ)……」
誰かが私の名前を呼んでいる。
なぜだかいつものように、簡単に瞼は開かなくて、その一つの動作でもかなりの労力が必要だった。
「お……母さん?」
開けた私の目にはお母さんの姿が映っている。
どうして、そんなに泣いてるの?
「良かった……本当に良かった」
だんだんと思考が働くようになってきた。
そう言えば、手術を受けたんだ。
私はまた、この世界に戻って来れたんだ。
心臓の鼓動が体の奥で脈打っている。
良かった。
まだ生きている。
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