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突如現れる魔法陣。
何処のファンタジー小説だと声高らかに叫びたい。
けど、できなかった。
できるはずがない。
、、
僕に隕石を止める事はできないのだ。
雨の如く降り注ぐ隕石を止める事はできないのだから。
彼女は手を天にかざしていた。暗黒の空に、巨大な魔法陣があった。
空を裂く様にして次々と現れる、流星群。
それは人型の巨大な何かをひたすらに攻撃する。
彼女がしているのは、明らかだ。
「……っ」
僕は、見惚れる。
焔を纏う石に。
消えていく巨人に。
こんな光景、僕はこれから先で見ることはないだろう。
ていうか、見たくない。
閑話休題。
巨大な何かは倒れていく。光の粒子を大気中に放出しながら。
……無性に疲れた。
「あら、まだいたの」
そして、僕の目の前に彼女が現れた。
我が高校の制服を身に着けている、獅子宮すばる。
まるで此処にいる僕が不自然の様に、そう言った。
「いたら悪いのかよ」
「ええ、悪いわね」
「僕だって好きで──」
「知らないわ。だったら生まれこなかったらよかったのに」
「其処までか!? 僕は其処まで言われる罪を犯したのか!?」
「犯したわ」
「……」
獅子宮すばる、という女生徒を僕はよく知らない。そして、これからも知らないまま、この学園生活を終えるのだろう。
けど、僕は恐ろしく摩訶不思議な真実を(把握はできていないけど)知ってしまった。
ていうか、中々酷い事を言うよな、コイツ。
「けどね、天原くん」
「なんだ?」
「罪は償えるのよ。飽く迄自己満足でしかないのだけど」
例えば、この場合なら──と彼女は続けて、
「今起きた何もかもを忘れる事、かしら」
そう言った。
僕だって、そうしたい。
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