149人が本棚に入れています
本棚に追加
私の飼い主は四十程の男性です。
私が赤ん坊の頃、今の私ほどの見かけだったこの人は、物語のような魔女ではありません。
月日が過ぎた分だけ、旦那さまには皺が深く刻み込まれ、月日が過ぎた分だけゆっくりと老いを重ねてゆきます。
この塔は旦那さまの屋敷の一部であり、屋敷にはたくさんの方が住んでいるようですが、塔には誰も近づきません。
「ラプンツェル」
外では強い風がふき、カタカタと窓を揺らしています。
「…」
「今日は着たままで良い、純白のドレスは花嫁を思わせるからね…」
優しく、舌が伝います。
優しく、指がはい回ります。
「…」
「感じ、声を出しなさい。卑しくね」
旦那さまの声に、全てに私の体は従います。
最初のコメントを投稿しよう!