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家の裏手の方から真っすぐ行くと森がある。
そこを抜けると、崖がある。下り道を下っていくと、樹海に着く。
その中を数分歩き、もうどこかだなんて分からないが、暗くてあまり馴染めないのは確かだ。
「ふっ……この世ともおさらばか」
だけど、場所なんて今となっては関係の無いこと。
……自分を虐げる者は多かった。家族や幼なじみは同情してくれた。
だけど、確かな場所が欲しかった。この手につかみ取りたかった。
親。魔力無しの俺を生んだことを、怨みなんてしない。だから、こうして次の場所を取ろうとしているんだ。
「さぁ、逝くぞ!こけて頭打って死んだ唯一の男友達……お前の元へな!!」
不思議と、恐怖は無かった。
木からロープを吊り下げ、準備は出来ている。台は丁度良さそうなチュリンという生物が居たので踏ん付けさせてもらっている。
覚悟を決め、ロープに手をかけた瞬間のことだった。
「待てぇぇぇぇぇ死ぬなぁぁぁぁぁぁぁ」
幼女の叫びが聞こえた。
「……気のせいだな。俺に幼女の友人は居ない」
ましてやロリコンになった覚えもない。
俺自体が子供だから他人を幼いなんて呼べないか、ははは。なんてブラックジョークを考えつく。
うっし、スルーでいこう。
「天国へ行けるとは思っていない。Let's go to hell」
ゆっくりと縄に首を入れ……
「だから待てと行っただろうがぁぁぁぁぁぁぁ」
ドゴォ!!
左腹部に強い痛み。声の主にに殴られたのだろう。
「ぐっ……」
持っていた縄は、俺が憧れていた魔法によって粉砕され、俺は吹き飛ぶ。
「普通無視するか!?」
「寒い……俺は死ぬのか……」
「演技をするな!と、言うか死んでは我が困るのだ!!」
ツッコミを入れてくれる幼女は優しいのか優しくないのか……
てか、ジオン兵の台詞?をスルーされたのが地味に悔しい。
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