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「ふむ…これはなかなかの猛火だったようだな…この部屋の中だけ…」
アコギは引っ掛かる喋り方をする。
103号室…幸馬の病室にたどり着いてから、アコギはぶつぶつ呟きながら物色する。
「…ふっ、これはでっち上げもいいところだな。通りで快く現場検証に応じなかったわけだ」
「ど、どうしたんだ?」
俺はようやく簡素だが口を開くことができた。
「…お前の目は節穴か?それとも目からの情報を脳で理解できないのか?」
冷たい目と声が向けられる。
「え?いや、そんなこと言われても…」
幸馬の事で頭がいっぱいで混乱している俺には無理な話だ。
「…言葉の情報だけを信じ、それほどまで動揺することが私には気が知れないよ」
アコギはやれやれと手を横でふる。
どうせフードの下の顔も呆れているのだろう。
「…まぁいい、出火原因は漏電って言ったの覚えてるか?」
俺は混乱する頭で記憶を引っ張りだし、返事をする。
「あ、あぁ」
「…どこから?」
「え?」
呆気にとられた俺に対して、アコギは再び呆れたように首をふる。
「…とうとう耳からの情報も理解できなくなったらしい…もう一度わかりやすく訊く、この部屋のどこから漏電したと思うのかと訊いている」
アコギの平淡な声が頭に入ってくる。
「え?いや、そりゃ…そこのコンセントのとことか…」
俺はよく考えずに簡単に答えてしまった
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