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―ひらり。
夜の街に、制服のコートがなびく。
「…そこまでよ。」
白い息と共に紡ぎ出される言葉が、凛と響いた。
薄暗い街角には、大小1つずつの影2つ。
「くそっ、こんな小娘に…っ!」
大きい方の影が、狼狽えるように呟いた。
どちらが優勢なのかは見ての通りなのに、まだ逃げるすきを伺っている。
……………………………。沈黙。
……………………………。沈黙。
……………………………。沈も「あーもうっ!!!!!!」
制服をまとった小さな影が叫んだ。
「ぐだぐだ言ってないでさっさと倒されてくれない!?こんなん倒されるのがお約束なんだから!」
「なっ…」
「それとも何!?最期の土産に睡眠不足をプレゼントしてくれるわけ!!?あたしは今日、早く寝たいの!」
「は…」
狼狽える敵をよそに、小さな影―少女の弁論は続いていく。
「あたしは明日ねぇ!テストなのよ!!んでもって…」
ガッ
少女が手に持った『武器』を振り上げる。
「…明日はスーパーヤスイのモーニングタイムサービスがあるのよっ!!!!!!!!」
パァン!
『武器』―ハリセンは、少女の前で大きな影を作っていた男に見事な音を立てて命中した。
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