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「…いるんでしょ、出てきて。」
暫くして、少女が低い声を発した。
スッ
暗闇から、黒いスーツの男が現れる。
そして、分厚い封筒を少女に手渡した。
「…ご苦労様でした、雅様。」
「ありがと。次もやるから。そこんとこ宜しくね。」
少女―皇宮雅はそう言って、ハリセンをひらひらと振った。
「!…はい。」
男は、一旦見開いた目を細め、
そしてまた、闇に消えていった。
「んーっ!」
雅は背伸びをして、
「よし、帰るか!!」
と軽やかに歩き始めた。
「あ~したは~ヤ~~スイの~と~くば~いびぃ~」
誰もいなくなった路地には、遠くから聞こえる少女の鼻歌が響いている。
雅に倒されたはずの男の姿は、いつの間にか消えていた。
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