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サユリに電話を入れて彼の話の真偽を確かめようとも思ったが、逆になにやかやと詮索されるのも嫌だった。私達二人の間に彼女が入り込んでくると、三人で会わなければいけなくなる。それは避けたい気持が強い。
迷ったあげく、彼に会うべきだと思った。会えば互いにバーチャルな世界から一歩抜け出せる。その結果、どちらかが失望するかもしれない。このままどっちつかずの関係でいるより、はっきりさせた方がいい。
彼にはメールを送信した。
≪花束、ありがとうございました。正直驚きましたが、メールをいただいて安心しました。返事遅くなりしたが、よろしかったら、ライブ行ってもいいですか?≫
送信後、数分もたたない内に彼からメールが返ってくる。素直に喜んでくれて、待ち合わせ場所を指定してきた。
彼と約束した当日になった。仕事を終えて慌しく身支度をする。今夜の為に新しい下着と服を買った。勝負下着を意識したわけじゃない。ただまっさらな気持で会いたかった。今までの先入観念を振り払って彼と接したい。そう思った。
待ち合わせの時間は八時、バーのあるビルの前で待ち合わせの約束をしている。この先の角を曲がれば数軒先にそのビルはあるはずだ。後、数分もたてば私は彼の前に立っている。本当にそれでいいのだろうか…… この期に及んでもためらっている自分がいる。
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