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「どッ、ドロボー!!!」
そう叫ばれた場所から、一人の少年が飛び出した。
「ドロボー…?つ、捕まえろ!」
その掛け声とともに、大人達が少年を追掛ける。
だが、少年は嘲笑していた。
まるで、追掛けても無駄だ、というように。
だが、大人達はその笑いに気付くことなく。
「待てや!糞餓鬼がぁ!!!」
少年を追掛ける。
だが。
ある距離を境に少年の後方の大人達は。
少年を追掛けるのを止めた。
そして、一人、また一人と追跡を停止していく。
少年が気付いた時には、もう一人も大人は居らず。
少年は、走るのを、止めた。
そして、自分達の家、裏路地に戻っていく。
走りながら浮かべた、あの笑みを零しながら。
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