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食事が終わって、『闇』が話す。
「嗚呼、世の中不条理だよなぁ、こんな子供にやれ窃盗だの、殺人だの演らせるんだからな…」
『風』、『影』はともに中学生くらい、『闇』は高校生位なのだが、正確な年齢は分からない。数えても無駄だからだ。
『風』は、
「…世の中が悪いのでは無く、こんな時代に生まれて来た者が悪いのでは?」
と。
『影』も肯定する。
『闇』は言った。 「そうだな…俺がまだ孤児じゃなかった頃だ。俺はそのとき、あるものから目を離さなかった。それは何か?…そう、テレビだ。そこに映ってたんだ、ペテン師って奴が。そいつが言うには、《人は皆、平等だ》とよ。だが俺達と町の奴等を比較して見ろ、どう考えたって平等じゃあ無い。だから、俺はペテン師を嫌いになった。町の奴等を嫌いになった。だからこそ、今の俺がいるのは、お前等のおかげだ。」
と。
久しぶりに、長い、そして古い話を聞いた『風』と『影』。
あまり『闇』は過去を語らない。それほど気にはして無かったが。
『闇』は、
「さあ、今日はもう終いだ。サッサと寝ろ。」
と、『闇』は自らの床へ付く。
『風』も、『影』も従うしか無かった。
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