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次の日―
『風』は、何時もの様に、パンを盗んでいた。
大人達をいつもの様に振り切った後。
意識せず、この町の大富豪、高木の豪邸の前を通った。
そのとき、高そうな車が豪邸の前に泊まる。
その中から、大人の男2人と、『風』と同じ年齢の女の子が。
男の一人が言う。
「凜、今日からお前はこの家の奴隷だ。これからビシビシこき使うからそのつもりで。」
凜、と呼ばれた女の子は、終始俯いていた。
そして、よく見ると、少女、凜の目には涙が。
さすがに、これ以上の長居は疑われると思い。
『風』はその場を立ち去った。
いつもの坂をのぼり、裏路地へ帰る。
『風』は、『影』『闇』に何か話しかけられたらしいのだが、本人は別のことを考えていた。
それは少女のこと。
汚れた大人達が少女を触る。
『風』には、そんな想像さえも醜悪に感じていた。
ふと、考えたことが口にでる。
「なんて自分は無力なのだろうか…」
と。
それを聞いた『影』は、
「力が無ければ付ければ良い。武器などが手頃だ。」
と。
神が居るとしたら、なぜ、僕らだけ除け者にするのか。
そんな事すら考えて居た。
ふと、『影』の言葉に反応する。
「…武器?何処にあるんだ?」
『影』は、
「俺は自分の武器があるが…他人の分は生憎ないな。それこそ、盗んで来れば良いじゃないか。」
と。
そうしよう、と思った『風』。
しかし、武器など、何時、何処で盗ればいいのか。
『影』は、
「夕暮れ、武器屋」と。
夕方は、(『闇』が言ったのだが)行動してはいけない時間だ。
しかし、
「分かった。行こう。」
と、『風』が言う。
そして『闇』が寝た後…
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