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『風』は『影』に教えられ、無人の武器屋へ。
『影』は、慣れた手付きで武器を選んでいたが、
「…………これがいい。」
『風』が言う。
それは自分の背丈ほどもある剣。
『影』はそれに否定したのだが、
「…これなら力任せに振り回せる。」と。
『風』は考えていた。
少女を助けだそう、と。
そして、共に住もう、と。
『影』は言う。
「……本当に殺るつもりか?」
『風』は肯定の意を込め、強く頷く。
それほどまでに強い意志だった。
「…分かったよ、お前がそこまで言うなら。」
と、御手製の武器を持ち、立ち上がる。
『風』は、
「………すまない。」
と一言。
『風』が『影』に初めて謝った出来事であった。
「さあ、行こう。」
と、二人は歩き出す。
『風』は剣を引き摺り、『影』は自分の武器を振り回しながら。
カルマの坂を昇っていった。
その先に、悲しい結末があるとも知らずに―
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