00:平凡ボーイ

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「イーチーィィー!」 キィキィと金属が擦れる音に乗ってきた黒髪が、やっとのことで"遅刻しないギリギリのライン"までこぎつけた俺の隣で速度を緩めた。 「イチおはよっすー」 「おージュン。おは」 勝ち組・チャリ組の"荒垣 準"は俺の親友兼幼なじみだ。 俗にいうイケメンってやつ そして、イチというのは俺の愛称。 本名は真田いちる...漢字で壱琉。漢字だとお堅い印象だからイチ そして平凡ボーイ 「いい加減、チャリに油させってギーゴラギーゴラ鳴ってるぞ『あぁ、油が欲しい、油、油がぁっ』って言ってるぞそのチャリ」 「きゃーっ朝からホラー、やーめーれー、ってかイチ何ソレ?」 俺が握っているソレ──チーかまをじっ、と見るジュンがなんだか可笑しくて、俺は新しいチーかまをジュンの制服ポケットに差し込んだ。
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