始まりの刻…

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「これで揃ったわね!!」 シリアは嬉しそうにそう言った。 「ただいま、母さん」 ノアはシリアの前に立つ軽く一礼をしながらそう言った シリアはノアの本当の親ではない、ノアは四歳の頃に両親を亡くし、孤児になったノアをシリアが引き取ったのだ。 しかしノアは義母であるシリアを本当の母のように思っている。 「おかえり……ノア」 シリアも立ち上がりノアの肩に手を置いた。 「クロは無事、任務を果たしたんですね?」 ノアはシリアに問う。 「ええ!! しっかり確認をとったわ!!」 シリアはノアの問いに笑顔で答えた。 「あの…さっきから何…を…?」 クロは状況について行けず困惑している。 「ああ、ごめんなさいね、ちょっと待ってて、クラウド!!」 シリアは何時になく真剣な表情と声でクラウドに指示を出す。 「御意……」 クラウドも一礼し、その指示に応えると、もう一つの部屋に入り、中から二本の金色の線が入った黒のローブを持ってきた。 「これって…」 クロは、これが何か知っていた。 「【エデン】二番隊副隊長クロ・ノワール……前へ出なさい」 シリアは大元帥として凛とした声でクロを呼んだ。 「しかし…」 クロは、まだ混乱している。 「大丈夫ですよ クロ、あなたにはその資格があります」 「そうですよ クロ君!!」 ノアとクラウドは困惑しているクロに優しくそう言った。 「クロ・ノワール 前へ」 シリアはもう一度、凛とした声でクロを呼ぶ。 「……はい」 クロは、はっきりと返事をし、シリアの前に立った。
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