慟哭

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時間にして2分も経たずに、数十体の魔族が討ちとったアイフは全身に雷の魔力を纏いながら敵陣を突っ切る。 「雷炎の鬼人だ!」 「討ち取れ!!」 単身のアイフを見て何体かの魔族が殺しにかかるが 「ギャア! ガッ……」 アイフの魔力に敵わず、ろくに近づくことさえ出来ずに次々と倒れていく。 縦横無尽に駆け巡るアイフだが、その表情には微かに焦りがあった。 「しまったしまった~…」 そう呟きながらアイフが目指すのは自軍と敵軍が入り乱れる最前線であった。 (最前線の敵が群がってるところに突撃したは良いけど、そのまま勢い余って更に深くまで突っ込んじまった……) なんと鬼人の奇襲の真相は、ただの力加減の間違いによる行き過ぎであった。 しかし、結果としては敵の主力部隊を叩き、更には敵陣に混乱を起こすことが出来た。 偶然によるものであったがこの奇襲は見事に成功していた。 (とりあえずザキかピョーラを見つけて合流しないとな~うん?) 「くっ……くそ!!」 「ハハハァ!! くたばりやがれ!!」 最前線の指揮官を探していたアイフの目に今まさに一人の兵士が魔人に殺されかけているのが、写った。 ザッ!! 「死ねぇ!!!」 「雷炎飛脚 雷閃」 ズバン!! 雷炎を纏ったアイフの鋭い蹴りが、魔人の腹を突き刺す。 ドサ!  魔人は悲鳴すら上げずにその場に倒れ、絶命した。 「おい、立てるか?」   一瞬の事に呆けている兵士にアイフは手を差し出す。 「はっ、はい!! 申し訳ありません!!」 状況を理解した兵士は慌てて立ち上がる。 「【凶刃の悪魔】か西方魔獣の王を探しているんだが、見なかったか?」 「ハッ!! 【凶刃の悪魔】様はわかりませんが、西方魔獣の王ならば先程まで左翼の方におりました」 アイフの問いかけに兵士はそう答えながら指差す。 「そうか、ありがとうよ! もうすぐ本隊が到着する!! それまで死ぬなよ!!」 ピョーラの位置を確認出来たアイフは地に落ちていた兵士の剣を手渡した。 兵士もまた剣を受け取るとアイフに向けて敬礼した。 「さて、本隊が到着するまであと数分ってとこか…それまでにピョーラと合流しねぇとな」 そして目前に迫る本隊を確認するとアイフは再び地を蹴ろうとした その時……
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