慟哭

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「今、なんと……言いましたか?」 僅かに沈黙が続いた後に、絞り出すようにノアが尋ねる。 あまりのことにさすがノアも思考止めてしまっていた。 「あっ…あの……」 「何と言ったか聞いているんです!!」 突然の沈黙に動揺し、反応が遅れる兵士にノアは強い口調で問いただす。 「ハッ!! 北方ヴァグラードからの通信が全て断絶!! 続いて南方ザンバリアよりも四番隊が壊滅したと報告があった後に通信が途絶えております!!」 ノアの威圧感に圧され、兵士も半ば叫びながら答える。 「そんな馬鹿なことが…」 『ガルトさん!! サヤさん!! 応答してください!!』 未だに信じることが出来ずにノア自ら念話にて呼び掛ける。 『………………』 しかし二人からの応答はない。 『北方本部!!南方本部!! 誰でもいい応答してください!!』 何とか情報少しでも手に入れる為に本部にも呼び掛けるが同じく応答はない。 (そんな…応答がない……まさか本当に……) 「勢力図の地図をください」 「はっ、はい!!」 指示を受けた兵士が机の上に地図を広げる。 (もし本当に二つの部隊が壊滅しているなら看過できる事態ではありません…しかし五隊長筆頭とも言えるガルトさんがこんな簡単に……) 地図を見つめながら必死に思考を働かせる。 (サヤさんもあの【五雷指】の生き残り…雷魔法ならアイフにも匹敵する実力があります…なのに……) ノアの言う【五雷指】とはかつて【エデン】に存在した雷魔法の精鋭部隊のことである。 サヤはその部隊で才能を見出だされ、五隊長にまで登り詰めたのだ。 「とにかく現状を確認することが最優先です。北方本部に三番隊、南方に二番隊の兵士を至急向かわせるように両隊長に伝えてください。最優先です!!」 ノア自身、二人の敗北など想像することはできない。 しかし今の自分の立場で感情や憶測で判断を下すことはできない。 そう言い聞かせながら指示を出す。 「すみませんでした。他の隊への指示を送ります。各隊からの入電を伝えてください」 非常事態の対応一つで終わりではない。 この僅かな時間の間にも本陣には大量の情報が蓄積されていた。 「はい! まず第3……」 その対応に再び戻ろうした時… 「【蒼炎の覇者】様! 大変です!!」 先程、ノアより指示を受けた兵士が血相変えて遮ってきた。
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