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クロスは木から飛び降りて、魔武器を魔晶石に戻しながら広場へと出る。
「おお、お疲れさん。終わったぞ」
豪快な笑い声と共に青白い塊が投げられる。
キャッチして観察してみると先程のクリスタルボアの額にあったクリスタルだった。
「うわっ、完璧な状態じゃないですか。脳に直結してるから痛み一つ与えるだけでも傷がつくのに」
「ハッハッハ。そんなもん痛みを感じる前に切り落としちまえばいい話だろう」
「簡単に言いますね。さすがですよ、グレンさん」
山男のように筋骨隆々な体躯と無精髭を生やした人懐っこい笑顔が印象的な中年オヤジ-グレン=ラインバレルはバッグからナイフを取り出した。
そうして頭部を両断されて絶命したクリスタルボアの死骸を捌く。
利用価値のある毛皮と牙、そして肉を剥ぎ取ると空を仰ぎ、
ピュイッ
口笛を鳴らした。
するといずこからか黒い影がこっちに向かって飛んでくる。
その大きさはぐんぐんと大きくなり、やがて三メートルにも及ぶ闇色の巨大な鷹であることが分かった。
「残りは喰っていいぞ、ナイア」
グレンの許しにブラックホークのナイアがクリスタルボアの残骸を丸呑みにする。
このブラックホークはグレンの使い魔で、もう十数年の付き合いになるという。
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