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これで今回の依頼“クリスタルボアの討伐・額のクリスタルを回収”はクリアだ。
クリスタルの状態は完璧なので報酬も弾むだろう。
「あ、そうだ。そのクリスタルって一つくらい貰えたりしないですかね?」
「ん~、それは無理だな。もともと依頼主は宝石商だ。討伐じゃなくてクリスタル目当てだからな」
「……まぁそうですよね」
鞄の中のクリスタルを数えていたグレンは首を振る。今回の討伐で10個のクリスタルを手に入れたが、すべて納品のようだ。
クリスタル一つである程度の入りになるし、個人的に用途も考えていた分がっかりだが仕方ない。
「なんだなんだ、愛しのサキちゃんにプレゼントか?」
「ええ。なにかと世話かけてるんで」
「おうおう熱いねぇ。若いって素晴らしい」
意地の悪い笑みを浮かべて、からかい混じりだが、クロスは特に気分を害すことはなかった。
年頃の少年のように照れ隠しでムキになったり、無愛想になって軽口で返すこともない。
サキは小さい頃からずっと一緒にいるメイドで、誰よりも信頼できるパートナーだ。
だから普段からプレゼントを贈ったり気晴らしに連れ出したりと、それを当然のように行っている。
「グレンさんこそリィちゃんばかりじゃなくてメイサさんにもプレゼントの一つくらいしたらどうですか。きっと喜びますよ」
「ハッハ、言うなぁ! だが俺も不器用でな。気の利いたアイデアはそう簡単に浮かばん」
見る人が見れば愚直に映るだろう二人は真剣にサプライズプレゼントを考え始めた。
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