サプライズな嫁模様?

8/22

4824人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
 マオリの実のジュースを一息に飲んだグレンがお互いの荷物を見比べ、渋い顔を浮かべる。 「いいのか、ほとんど持っていっちまって」  グレンは配分として約7~8割ほどをキープしているのだが、年上としての配慮と言うべきかむしろ意地のようなものが悩ませているようだ。 「報酬は折半。そこからはメイサさんにってことだったでしょう。遠慮しないでください」 「……じゃあありがたく貰っておくよ。借りは必ず返すからな」 「ええ。じゃあまた明後日にでもここで」  次の狩猟の約束を交わし、クロスはグレンと別れた。  残り、とはいえ携帯用の袋がパンパンになるくらいの量を詰め、赤く染まった空の下を帰路に着く。  ギルドハウスを中心とした町並みは四方にメインの道路が伸び、商店が立ち並ぶ活気のあるストリートとなっている。  そこから外れると住宅が入り乱れるように並び、町の外周にはモンスターの襲撃を防ぐために3メートルほどの壁がそびえる。  メインストリートを途中で路地に逸れ、把握するにはさしたる苦労もない程度に入り組んだ小道を進むと、上下に二部屋ずつの二階建てのアパートが見えてきた。  その二階の奥側の扉が少々乱暴に開けられ、中から影が飛び出してくる。  背は1メートルと少し、茶色の髪から同じく茶色の三角形の突起が二つ飛び出しており、水色のワンピースの腰下からは茶色の尻尾がピィンと立っていた。  ぱちくりと真ん丸の目を開いた少女はクロスの姿を確認すると、パタパタと階段を駆け降りてくる。 「にいさま!」  その駆け足のまま両手を広げて抱き着いてきた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4824人が本棚に入れています
本棚に追加