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ほら、
またどこかで
心が壊れる音がする。
「僕は……間違っていたのかな……」
ポツリと不安気にムーンは呟いた。
潤んだ瞳で、静かに横たわるダッシュを見る。
『いいえ、ムーン様は何も間違っておりません』
そんなムーンに側にいたクロスはキッパリと言い放つ。
『大丈夫ですよ。それにムーン様にはこの我が側にいます……いつまでも』
クロスは妖艶な笑みをこぼす。
「ボクもいるよ!ボクは永遠にムーンくんの味方だよ、それに大切な弟ダカラネ」
カルマもニッコリと不気味な笑みを浮かべる。
ムーンはそんな二人を見て、うっすらと微笑んみ、
「……そうだね」
今にも消え入りそうな声でそう言った。
感情を一切忘れたかのようなその小さな声は理解している。
二人が自分に優しくするのは、己の欲を満たすためだと。
それでもムーンは微笑んだ。
二人もそんなムーンを見て、また微笑んだ。
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