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「あはっ……」
不意にムーンから掠れた笑い声が漏れた。
それは段々と大きくなる。
「あははははっ、あはは!」
自嘲するかのような笑い声が辺りに響く。
狂った笑い声に、クロスは嬉しそうに、カルマは楽しそうに微笑んだ。
そしてその笑い声は急に止み、
「……すぐ戻るから」
そう言ってムーンはフラリと暗闇の中へと歩いて行った。
ムーンのいなくなったその場は、どこか険悪なものとなる。
そんな中、最初に口を開いたのはクロスだった。
『どうかなさいましたか?カルマ様。そんなに睨まなくても』
「わかってるクセに。お前さぁ……ムーンくんの使い魔ヤメテよ」
敵意剥き出しのカルマに動じることもなく、クロスは鼻で笑う。
『ハッ……お断りします。あんな上質な魂……離す訳ないでしょう?』
「卑しい悪魔め……」
クロスの冷たい表情に、カルマは一層目を細めて舌打ちをする。
「お前なんかにムーンくんは渡さナイヨ……ムーンくんの魂はボクのでもあるんダカラ。悪魔なんかに喰ワレテたまるか」
カルマは吐き捨てるようにそう言って、ユラリと空気に融けるように消えていった。
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