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『誰が離すものか……やっと見つけた魂を。狂気に執り憑かれた魂を……』
クロスは空に浮かぶ月を見上げる。
『我はムーン様が狂う為なら何でもします……月に誓って』
クロスの不誠実な誓い。
動かないダッシュはその誓いをしっかりと聞いていた。
黒い闇に浮かぶ月。
ムーンは夜風に吹かれながら、赤い瞳に月を写す。
「僕は……何をやってるんだろ……」
ポツリと誰かに話しかけるようにムーンは話す。
虚無感に満ちたその声で。
「僕は悪くない?いけない?駄目?」
本当はわかっている。
自分がやったのは悪いことだと、
いけないことだと、
駄目なことだと。
それでも声に出して問うたのは誰かに言ってほしかったから、たった一言、
大丈夫。
そう言ってもらいたかったから。
でも、それを言ってくれる人は側にいない。
ムーンは独りになってしまった。
“孤独”なのだ。
もういいや。
乾いた声でムーンは呟き、
「……次は誰を殺そうかな」
歪んだ笑い顔で涙を流した。
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