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ウサギ男さんはブツブツと喋りだした。正しく自分の世界に入ってますって感じ。
……とりあえず、何か…今、気になってる事…聞かないと。多分…この人なら答えてくれる…と思うから…。
「…あの…ウサギ男さん…此処は、何処なんですか…?」
…あ。つい、ウサギ男さんって言っちゃったわ。…返事が直ぐに返ってこない…。き、気分を悪くしちゃったかしら。
そう思い、私は見上げてみた。…ウサギ男さんは目を丸くさせて…怒っているっていうよりも、驚いてるみたい。だけど少しして少し哀しそうに笑って口を開いた。
「…アリス…そう。君は、全てを忘れてしまったんだね…。
……私の名前はウサギ男、ではないよ。私の名前はハクト。白ウサギのハクト。
そして、此処はアリ……いや。此処は、忘れられた国…」
ウサギ男…いや、ハクトさんは少し哀しそうに笑って言った後に少しの間を空け、私の呼び名に苦笑しながらも自分の名前を言ってくれた。そして、私の質問に答えてくれた。何だか、言い直していたみたいだけど…。
相手が名前を名乗ってくれたのに、此方が名乗らないのはいけないわよね!お礼も言わなくちゃ!
「そう…ですか。ありがとうございます、ハクトさん。
えっと…私の名前は伏木 雛(フシキ ヒナ)って言います」
「ヒナ…だね。…気にしないで。
…ハクトで良いよ。さん付けはあまり好きではないんだ。口調も出来たら敬語でない方が良いんだが…」
「えっ…。あっ…うん。わかった!じゃあ、ハクト。いくつか質問したいんだけど…良い?」
「あぁ、良いよ。答えられる範囲で答えよう」
ハクトは、ニッコリと微笑んで承諾してくれた。
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