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「あの…まず、何で私のこと…アリスって…?」
「…それは……ごめん。君に嘘は吐きたくないし…でも、それは…その答えは君がちゃんと見つけるべきだから…私はその質問には答えられない」
本当に申し訳なさそうにシュンとして言ってくれるハクト。…何だか悪いなぁ…。
でも、結局一つ目の疑問はわからなかったわね。仕方ない、次の質問しよ!
「ううん、良いの。ありがとう。じゃあ、アナタには何でその…えっと…ウサギ耳が…?」
「アリ…ヒナ、その質問は何故人には目があるのか?と質問するようなものだよ。だから、何故かと聞かれても…ね。敢えて言うなら“白ウサギ”だから…かな」
「そ、そうなの…。何だか良くわからないわ…。…あぁ、アリスの方が呼びやすいなら別に構わないわよ?
あの…その耳、凄くフワフワモコモコしてそうだけど…本物なの?」
「そうかい?助かるよ。ありがとう、アリス。
あぁ…本物だよ。ちゃんと生えているからね」
ハクトはそう言って耳をピコピコと動かした。
「そ、そう…。本物なんだ…」
ほ、本物なんだ…。ピコピコ動いてるし…モコモコそう…。さ、触りたいな…。
……はっ!ダメダメ、質問の続き!
「あのね…ハクトはどうしたら此処から帰れるか…知ってる?さっきは会話もしなかったしアレだったけど…私、アナタの目の前で落ちたはずだし…アナタ、帰り方…知らない?」
私がそう問いかけたら…今までの質問とはうって変わって、ハクトは凄く驚いたような顔をした。
そして真剣な顔で口を開いた。
「…アリス…君は、“私”に会って此処に来たのかい?」
「え…?えぇ。会ったも何も…アナタ、此処に来る前に目の前に居たじゃない…」
私、何かおかしなこと言ったかしら??そう考えていると…真剣な顔のままハクトが再び口を開いた。
「……そう…。…アリス…君は此処から帰りたい、本当にそう思ってるんだね?」
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