~忘れられた国へ~

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  …何?何なのこの森? 何で私はこんな所に居るの? …と、とにかく…何でこんな森に居るのか……どういう経緯で来たのか…少し、冷静になって考えてみよう…。 あれは確か……そう、学校から帰ろうと思ってて…帰り道を歩いていたんだ。 そしたら…目の前に白いウサギ耳が見えて…でも、目の前には男性が居るだけで…。きちんと認識するまでに軽く手間取ったけど…目の前の男性にウサギ耳が生えてた。いや…ウサギ耳の生えてる男性が目の前に居たんだ。 男性は…フォーマルな格好って言うのかな…?白いシャツを着て、ネクタイの代わりに赤いスカーフで首元をとめていて、シャツの上には薄い黄土色のジャケットベストを着ていて、その上に少し長めの白いジャケットを前を止めずに着て、白いズボンを履いていた。 肌は透き通るようにとても白く…瞳はルビーみたいに綺麗な紅い色で…髪の色は、ウサギ耳に負けないくらい白かった。でも、不思議と“老け”を感じるような白さじゃなくて…とっても若い感じの…20代くらいに見える外見だった。 髪も肌も凄く白くて…服装までが白いから、全体的に白いイメージを受けるなか…赤いスカーフと…その、真っ赤な瞳だけが…濃い色を…存在感を放っていた。 ウサギ耳がある時点で何だか近寄り難い…って言うか近寄りたくないし関わらないでおこうって思ってたんだけど…その、紅い瞳を見ていたら…何だか無性に哀しくなって…苦しくなって…会いたく…なって……行きたくない、行っちゃダメだって頭が警告を流しているのに…足がフラフラと勝手に…そのウサギ男(仮)の方へ向かっていた。
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