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緑「そんなん!」
俺の感情に怒りが
混じり出すのも時間の問題
黄「納得できへんのやろ?」
それを逆撫でするかのように
あざ笑うかのように
彼はただ冷静に
俺の気持ちを言い放つ
緑「知っててゆーてんねや…」
その無情さに目を伏せれば
黄「せや」
彼の冷たい言葉だけが
俺へと届き
緑「俺の気持ち知ってて」
悲しく揺れる想い
黄「酷いか? 緑「おん」
ずるいか? 緑「ズルイ!」」
瞳に涙がうっすらと
膜を張ってゆくのが分かり
余計心が締め付けられる
黄「じゃあ、もー
俺のこと嫌いか?」
だけどもっと悲しい人は
目の前にいるから
緑「…そんなんで、
嫌いになられへん」
涙を零す事はしない
黄「何でや?」
俺の瞳に涙が滲む前から
彼の心は泣いていて
緑「理由なんてない」
それを知っているから
今すごく愛しいのは内緒
黄「なら… 緑「好きやから」」
言葉に変えれば簡単で
黄「は?」
何度だって言えてしまう
緑「好き」
嘘偽りはそこにはなく
黄「…やから 緑「好きやねん」」
たった一人の愛する人にだけ
俺が伝えられる事だから
彼を満たせるほど
たくさんの愛を込めて言う
黄「意味分からんわ」
その場から立ち去ろうとする
卑怯な体を引き止めて
緑「俺は好きや」
何度も何度も口にする
黄「いや、聞いてへんし」
でも絶対こっちを
見ようとせず
そっぽを向いたまま
緑「亮ちゃんは?」
言うだけでは俺の気持ちは
納得しない、今まで
無視されていた想いを
彼にも認めてほしいから
黄「…」
堅い口を開かせたくて
緑「答えてや」
少し肩を揺すると
黄「…俺は好きやない」
望んでいたものとは
別な答えが返ってきて
緑「…」
俺の口が閉ざされた
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