おちば

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blue side. 黒「秋ってさぁー」 撮影の為にやって来た公園で ブランコに乗りながら 休憩時間を潰す 先輩の背中を 斜め後ろで眺めていたら 突然、独り言のように 話し出した 青「はい」 表情を伺うことはできないが どことなく声が切ない 黒「寂しない?」 秋、とゆう季節が 彼を寂しくさせるのか それとも今の彼の気持ちが 言葉となって僕へ伝わったのか 青「そーですか?」 どちらなのか分からなくて 素っ気ない返事になる 黒「おん、なんとなくやけどな」 だけど彼は それほど深く 考えている訳ではない、と 言葉の裏に含んで 僕を困らせないよう 話題を伏せた それを察した僕は 少し黙って 足元に広がる落ち葉を パリパリっと踏んで、呟く 青「大丈夫ですよ」 それは聞こえるか 聞こえないかぐらいの 小さな声だったから 黒「ん?なんてゆ…」 彼の耳には届かなくて わざわざ後ろを向き もう一度聞こうとするが 青「さ、みんなんとこ   行きましょか!」 気づかぬふりをして 言葉を遮り 飲みかけの缶ジュースを ゴミ箱に投げ捨て歩き出せば 足元からは秋の音がして 振り返れば彼が 待てや、と僕を追いかけていた 心配しやんでも 僕は一緒におったりますから。 end
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