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「で、俺に何か用?」
俺は周りへの警戒を万全にしたまま成美さんに尋ねた。
さっきまであんな事を考えていたが、どうやら俺はまだ死にたくないらしい。
すごく失礼だが、成美さんとは少し距離をとりながら成美さんの応答を待った。
しかしそれは完全にやってはいけない事だった。
「わ、私に…グスン、近付かれるの、嫌なんでずが?」
成美さんは嗚咽混じりにそんな事を言い出した。
……えっ、泣いてる……!?
そして目から涙を溢れさせ、屋上の扉に向かって走り出した。
「ま、待って!」
泣きながら去っていく成美さんを反射的に追い掛けた。
てか、俺は救いようのない馬鹿だ。
成美さんが、あのおしとやかな成美さんがリンチなんて物騒な真似する訳ないだろう!
俺は成美さんがドアノブを掴む前に、なんとか成美さんの腕を掴む事ができた。
「……ゴメン、そういうつもりじゃなかったんだ。いきなり女の子三人に呼ばれたから警戒してたっていうか……ホントにゴメン!」
俺は深々と成美さんに頭を下げた。
せっかく仲良くなれるチャンスだったのに、俺って馬鹿だよな……
成美さんも俺の事嫌いになったよな……
「えっ、私、嫌われてないんでずが?」
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