1人が本棚に入れています
本棚に追加
夢を視る。
少年は夢を観る。
その情景は窮めて普通。
普通の家族が、普通に暮らしている。
厳格だが優しい父親が、会社に勤めて日々の糧を稼ぐ毎日。
優しいが、時々怖く、毎日のお弁当を作ってくれている母親。
少し早く生まれたからといって、威張ってばかりいる兄貴。
最近、彼氏が出来たと言って似合いもしない化粧に手を出す妹。
その間には、二番目だからこその苦労を背負い込んだ自分……自分?
朝は朝食をさっさと食べて仕事に行ってしまう父と、朝食とお弁当を作った後は軽く休憩をして、掃除や洗濯に勤しむ母。
そんな母親の手製弁当を手にし、高校に通う兄貴。
彼氏と待ち合わせだとか言って、背伸びカップルとなり寄り添う小学生の妹。
そして中学校に通う自分。
帰ったら一家団欒で夕飯を食べ、明日に備えて準備をしたら布団に入る。
布団に入るとやがて睡魔が襲ってきて、睡眠に入ってしまう。
最早、朝までぐっすりと眠って、余程の事が無ければ起きる事は無いだろう。
眠りに就いた自分は夢を視る。
朝、起きて朝食を食べる。
隣人たる幼馴染みと共に、学園に通って笑い合う夢を観ている。
どちらが本当なのか?
“自分”にも解らない。
.
最初のコメントを投稿しよう!