第1章:違和感

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夢を視る。 少年は夢を観る。 その情景は窮めて普通。 普通の家族が、普通に暮らしている。 厳格だが優しい父親が、会社に勤めて日々の糧を稼ぐ毎日。 優しいが、時々怖く、毎日のお弁当を作ってくれている母親。 少し早く生まれたからといって、威張ってばかりいる兄貴。 最近、彼氏が出来たと言って似合いもしない化粧に手を出す妹。 その間には、二番目だからこその苦労を背負い込んだ自分……自分? 朝は朝食をさっさと食べて仕事に行ってしまう父と、朝食とお弁当を作った後は軽く休憩をして、掃除や洗濯に勤しむ母。 そんな母親の手製弁当を手にし、高校に通う兄貴。 彼氏と待ち合わせだとか言って、背伸びカップルとなり寄り添う小学生の妹。 そして中学校に通う自分。 帰ったら一家団欒で夕飯を食べ、明日に備えて準備をしたら布団に入る。 布団に入るとやがて睡魔が襲ってきて、睡眠に入ってしまう。 最早、朝までぐっすりと眠って、余程の事が無ければ起きる事は無いだろう。 眠りに就いた自分は夢を視る。 朝、起きて朝食を食べる。 隣人たる幼馴染みと共に、学園に通って笑い合う夢を観ている。 どちらが本当なのか? “自分”にも解らない。 .
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