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朝になり少年は、ケンゴは夢から覚めて掛け布団を剥いで、ノソリとベッドから降りると眠たい目を擦りながら学生服に着替える。
「またか。本当に変な夢だよな」
普通の家族。
普通の団欒。
なら、ケンゴが識る“普通”とは何だろうか?
ケンゴは其処まで考えると首を横に振り、苦笑いを浮かべてしまう。
「阿呆らしい。所詮は夢だろ?」
だいたい、アレが“普通”だと何故言える?
夢の中でも、他の家ではまた違う“普通”があった筈じゃないか。
くつくつと笑い、学園指定のカバンを手に取ると階下に降りる。
ケンゴの部屋は二階の奥。
学園に通うには先ず階下に降りなければならない。
いちいち面倒だと思いながらも、そうして階下に降りていく。
正直、億劫だった。
学園に通うのは構わない。
学生なのだから、学業が本文として学園へ登校する。
そんな当たり前の事が嫌な訳では無い。
問題なのは、やっぱりあの夢が原因なのかも知れないと、ふと思う。
窮めて“普通”だと感じるあの夢の家族……
本当にあんな家族の一員ならと、たまに本気で思うのだ。
何故なら、ウチはあんな普通の家族がしている事を、全く出来ないから。
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