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夜の静寂の中、ふと目覚める。
これから何が起こるとも知らずに。
豪奢な天蓋に、柔らかく身体を包み込む大きな布団。
広大な寝室だ。
暗闇の中、視線を左に移すと、十歳位だろうか?
肩で息をした少年が心配そうに私を見つめていた。
「お休みのところ申し訳ございません」
「……?」
突然の訪問に首を傾げる。
こんな事は初めてだった。
呼んでいないのに、枕元に控えているなんて……
「失礼いたします」
私の戸惑いを余所に、少年は私を抱き上げた。
温かい蒲団から引き離された私は、一瞬、肌寒さを感じるが。
少年が大切に胸に抱いてくれるため、その温もりに再び眠気をもよおす。
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