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少年は走り出した。
自らの使命に燃えて、息を殺しながら。
遠ざかる自室の扉。
少年に抱かれながら、暗く長い回廊を夢うつつに眺めている。
大きな柱は無限に伸びており、耳につく靴音は逸るばかり。
変わらない景観に、異変を気付かされた。
衛兵の姿が、無い。
勿論、回廊の灯火もだ。
「…ハア…………ハア……ハア…」
背中を支える少年の腕に力が篭もる。
疲労が蓄積された頃、巨大な門を前にして漸く廊を抜けた。
【ばたん】
門を潜り中庭に差し掛かると。
未だ夜明け前の庭は、何故かオレンジ色に揺らめいていた。
何時もと、違う。
私は何とも言えない恐怖に揺り起こされてしまった。
堪らず少年にしがみつく。
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