序章

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「大丈夫です。私が必ず、お守りします」 顔を上げれば、そこには眩しい笑顔があった。 揺らめく影に頬を伝う汗が光る。 少年の言葉が、酷く胸を打った…… そうだ。 少年はいつも私を守ってくれる。 その全てを懸けて…… 是ほどに尽くしてくれる少年の言葉をどうして疑えるだろう。 私は小さく頷き、少年の胸に顔を埋めた。 怖いモノが見えないように。 その温かい鼓動に縋るように…… 少年は私の不安を振り払うように、再び走り出した。 視界を塞いだ私の耳には、沢山の怒号と足音、そしてぶつかり合う非情な刃の悲鳴が容赦なく降り注ぐ。 私は必死に、ただただ祈った。 いつもと変わらない朝が戻ってくることを……
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