序章

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その時、社の扉に火矢が刺さった。 無数の刃が扉を貫こうと幾度となく叩きつけられる。 とうとう、追っ手に取り囲まれてしまったのだ。 咽ぶ怒号の最中、それでも社は燃えず、刃は通らない。 女性が社を護っているのだ。 強く輝くのは、光りの八線と月光。 漸く、女性の言の葉が終わりを迎えた。 その刹那の、閃光。 私と少年は見た。 光りが滴り落ちる様を。 暗闇が跳ねる様を。 その隙間に微笑む女性を的に、一斉に飛び掛かる狂気を。 私は叫んだ。 声にならない、悲鳴を…… - - - - - -
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