1、電車

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「別に」  私はそう答えて、肩をすくめる。 「もう夏だなあって、思って」 「俺関係ないじゃん」 「うん。でも……夏は、暑いよ」 「誰かさんのせいで?」 「さあ? でも今日は外が明るいね」 「夏だからだろ」 「時間も早いし」 「……じゃあ、一人で帰るか?」 「うん。そうしようかな」  私が黙ると、大輝も口を閉じた。ついでにまぶたも。  そっけない幼なじみに、いらだちに似た感情を抱きながら、私はまた窓の外に目を向ける。  ――この明るさなら……。  しばらくして、沈黙をかかえた電車は止まった。降りる駅だ。  真っ先に大輝が席を立った。さっさと電車を降りていく。  ここで降りないと家に帰れないから、私は大輝のあとに続いた。
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