第1章ぼくたちの砦

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図書室の扉を開けた。中にいるのは創也だけだ。 朝日の入ってくる窓際に椅子をおき、足を組んで本を読んでいた。 長い前髪が、俯いた彼の横顔を、斜めに隠している。 ハッキリ言って、かなり美形だと思う。ワインレッドのフレームの眼鏡が彼に「知性派」の印象を与えている。 男は顔じゃないとは思うものの、やっぱり羨ましい。 僕のルックス?上の文から察して欲しい。 空は、中性的な顔立ちの微美形。 「おはよう」 僕は、声をかけた。 驚いて本から顔をあげる創也 「………おはよう」 どうして僕らがここにいるのかと、不思議そうなかおで、こちらを見ている。 ………会話が続かない。 創也は本に目を戻した。 「えーっと何呼んでるの?」 良く考えてみたらクラスメイトてはいえ、創也とはまともに話したこと無かった。 「ああ、これ?安倍晴明の研究書だよ」 「それ…面白いの?」 「少なくとも暇つぶしにはなるね」 ……微妙に会話が続かない。 別に、不機嫌な訳じゃないだろう。 でも、朝の図書室内に、気まずい空気が流れる。 「ねぇ~?創也君。 創也君って夜な散歩が趣味な人?」 そうだった。空は、空気読まないんだった。 「君達…ゆうべ見てたの?」 「うん。……あれ?見ちゃ、不味かったのかな?」 なんか地雷を踏んだ気がする。
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