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「ねぇ~。鍵貰っても、創也君が何処に居るか分んなかったら、意味ないよ」
「昨日、僕が消えたと思ってる場所を、もう一度捜してごらん。見つけられないようだったらゲームオーバーだ」
創也が眼鏡をかけた途端にさっきまでの親しみやすさは消え、いつもの創也に戻ってしまった。
「ヒントは無いの?」
僕が聞くと。
「君達は、攻略本を頼りにゲームをするタイプかい?それだとゲームの本当の面白さは、分からないよ」
氷の様な冷たい声だ。
本を持った創也が立ち上がり、そのまま図書室を出て行く。
「創也君!!椅子片付けてないよ!!」
創也の分まで椅子を片付けてると、始業のチャイムが鳴った。
授業中、僕は、上の空だった。
ペンケースに置かれた鍵。銀色の冷たい光を放ってる。
鍵は、何時だって何かをやってくれる。
家の鍵は、僕に夕ご飯を与えてくれる。
学校のロッカーの鍵は、持ち帰るには重い辞書と母さんき見せにくいテストを隠してくれる。
この鍵は、一体何をやってくれるんだろう。
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